1.ホール素子の動作原理

ホール素子はホール効果を利用した磁気センサです。

このホール効果とは、固体(半導体薄膜)に電流を流し固体表面に対し垂直に磁界を加えたとき、電流方向及び磁界方向それぞれに垂直な方向に電圧が発生するという原理に基づくものです。

下図 [1-1]に素子の基本原理を示します。ホール電圧VHMは次の式(1)、(2)で表すことができます。

2.ホール素子の特性

図 [2-1]にホール素子のホール出力電圧と磁束密度の関係を示します。

InSbホール素子は磁場に対する感度が高く、弱い磁束密度にも良く反応します。

GaAsホール素子は感度が低いが、磁気に対する直線性が優れています。

[2-1]出力電圧-磁束密度特性

3.InSb型ホール素子の特徴

  • InSb薄膜を使用した高感度なホール素子です。
  • 超小型パッケージで製品の小型化、薄型化が可能です。
  • 他社のホール素子と同じ端子配置で互換性があります。
  • 他社にない周対向型(縦型検出)面実装ホール素子(NHE529型)をラインナップしています。
  • 自動組立用のテーピング梱包に対応可能です。
  • 縦型タイプもご提供できます。

4.GaAs型ホール素子の特徴

  • GaAsを使用しているため、周囲温度の変化に対するホール電圧の変化が小さく、温度に対し直線的に変化します。
  • 広い動作温度範囲 (-40℃~125℃)。
  • 磁力の変化に対するホール電圧の直線性が優れています。
  • オフセット電圧の温度依存性が小さいです。

5.ホール素子の用途

  • ブラシレスDCモーター(FANモーター、3相BLDCモーター)
  • 位置検出センサ
  • 回転数検出センサ
  • 電流センサ
  • その他各種磁気センサ
[5-1] 3相BLDCモーター
[5-2] 電流センサ

6.注意事項

半田実装条件

(1)半田取り付け推奨条件

方法 温度
リフロー法 MAX 260℃   10秒
半田ゴテ法 MAX 350℃    3秒
  1. リフロー法では、本体への急加熱、急冷は避けて下さい。
  2. リフロー法の予備加熱は、以下の温度プロファイルを参考に実施して下さい。
  3. リフロー法では、ピーク温度は245~260℃で5秒程度を推奨します。
  4. 半田ゴテ法では、素子本体に触れないように半田付けして下さい。

(2)温度プロファイル

  [リフロー法]

絶対最大定格に関する注意事項

絶対最大定格を超えて使用した場合は、故障の原因となりますので、ご注意下さい。

保管上の注意事項

保管における環境は、充分注意をして下さい。

特に、以下の状況下及びそれに準ずる状況下での保管は、外観の損傷、特性不良、組立性の劣化を招く場合がありますので、ご注意下さい。

  • a. 直射日光のあたる場所、長時間高温、多湿になる環境
  • b. 腐食性ガス、有機性ガス、酸性・アルカリ性の雰囲気となる環境
  • c. 塵埃が多い環境

お取り扱い上の注意事項

本製品は、次の事項に注意して下さい。

  • a. 本製品の焼却、破壊、粉砕や化学的分解を行わないで下さい。
    ※特に焼却したり、酸・アルカリなどと反応させると、有害ガスが発生し、人体に危険を及ぼしますので、絶対にやめて下さい。
  • b. 本製品は口に入れないで下さい。
  • c. 廃棄する場合は、関係法令と貴社の社内廃棄物処理規程に従って廃棄して下さい。

静電気に関する注意事項

本製品を取り扱う場合は、人体はアースバンド等で正しく接地すること。さらに設備、器具も正しく接地させ、静電気の蓄積が起こらないようにして下さい。

絶縁体が、本製品に接触する場合は除電装置を使用して下さい。